白鷺ニット工業社員インタビュー。すべては素材の知識から始まる

企画開発・品質管理・生産管理

すべては素材の
知識から始まる

2016年入社
在宅勤務 
渡瀬 照恵

あなたを一言でいうと?
心配性のビビり

志願して海外工場へ行き、インナー生産の基礎を学ぶ

志願して海外工場へ行き、インナー生産の基礎を学ぶ

会社を一度離れて、その後、復職したそうですね。

そうなんです。新卒で入社しましたが、結婚後の住まいが通勤できない県外でしたので退職しました。その数年後に、会社から声をかけてもらい再入社して、在宅ワークをベースで勤務しています。

新卒入社した時の話から聞かせてもらえますか。

学校で服飾関係を学んだので、繊維関係の商品企画やデザインをやりたいと就職活動をしましたが、なかなか新卒の企画採用枠がなく、やっとこの会社に拾ってもらった感じですね。しかし1996年に入ってみたら、実際の仕事は出荷作業がメインでした。実は当時、社内には企画に携わる部署がなく、デザインや素材、仕様、生産方法など専門分野を扱う開発業務のほうも営業と工場で直接やりとりしていました。

出荷を続けて1年後、同期が各部署に配属されていく中、「自分も企画に携わりたい。そのためには技術的なことを学ばなければ、この先は始まらないな」と思い「中国の工場に行かせてください」と会社にお願いしました。中国にはうちの合弁工場があって、現場でものづくりをイチから学びたいと思ったのです。国内にも4工場ありましたが縫製だけでしたので、海外のほうが素材から学べる環境がありました。

志願して海外工場へ行き、インナー生産の基礎を学ぶ

在宅時のSlackハドルミーティングの画面。コミュニケーションは他にLINE通話、Zoom、WeChatなどを使います

自ら道を切り開いたんですね。ただ90年代の中国ですから、ずいぶん思い切りました。

そのころの工場近辺はロバが荷物を運ぶような田舎でした。でも、編み立て、染色から縫製、仕上げまで行う一貫工場だったので、インナーづくりのすべてを見ることができました。ここで学んだことは本当に大きかったと今も思います。それと同時に、やりがいと責任と怖さも感じました。日本からファックス1枚流せば工場全体の数千人が動きます。指示が正しく伝わらなかったり間違ったりすると大変ですね。帰国後は海外工場で学んだことを生かし、少しずつ開発業務を担えるようになりました。

12年ほど働いて、結婚して退職。そして2016年に再入社しました。

会社から少し業務を手伝ってもらえないかと連絡がありました。まだ自分の子どもが小さいため時短勤務で、通える距離ではないから在宅勤務にさせてもらいました。8年ぶりに戻って感じた一番の変化は、業務のデジタル化が進んでいたことです。在宅ワークができたのは、そのおかげといえますね。

子どもの成長にあわせて、勤務時間は少しずつ伸びています。また現在は週1、2回ぐらい福崎ファクトリーに行くようになり、社内の関係者とコミュニケーションをとったり、現物商品を確認したり、貴重な時間になっています。

商品企画をはじめ、ものづくり全般を担当

指定した色にきちんと生地が染色されたか確認。照明によって見え方が変わるので、工場側と同じ光源を設定した環境下で

商品企画をはじめ、ものづくり全般を担当

担当するのは、どういう業務ですか。

ものづくり全般にかかわっていて、企画開発、生産管理、品質管理を担当しています。

まず企画開発からですけど、これは商品企画と開発に分かれます。商品企画はこんな肌着が欲しいというアイデアからスタートします。営業サイドからの提案もありますし、実際の商品が並ぶ店頭を市場調査して参考にしたりします。うちの主力商品はターゲットが中高年なので、年齢を重ねた最近は、自分が着るものとしての視点も加わりました。

企画ができると次は、それを具体的に落とし込む開発業務です。デザインや素材、仕様などを決めていきます。一番むずかしいのは生地開発ですね。どういう生地を使うか、それによって着心地と原価が変わり、売れ行きも左右されます。着心地とコストの着地点を探るために、糸の種類をいろいろ変えて、サンプル生地を編んで試作を繰り返します。時間的に余裕がないときは、頭の中で糸を組み合わせて構造をイメージし、仕上がった生地を想像しながら進めることもあります。

自分が企画した商品で、これはよくできたなと思うものはありますか。

最近では、腹巻きとパンツを合体させた「おなかポンポン」シリーズですね。きっかけは友だちから聞いた、旦那さんのおなかが冷えやすいって話です。腹巻きをしたら、ボクサーパンツと重なって、ごろごろして気になるそうです。それなら二つをつなげて1枚にすれば、ごろつきの悩みを解消できるのではという発想でした。開発的には、パンツ部分と腹巻き部分の生地の使い方を工夫して、肌ざわりの良さと縫製効率のコストダウンを両立できました。数年前に発売してからいまも売れ続けていて、うれしいです。「おなかポンポン」という商品名もわかりやすく、可愛らしく、受け入れられた一つだと思います。

商品企画をはじめ、ものづくり全般を担当

試作品作成の福崎ファクトリーにあるレースやゴムなどの資材も確認します

生産管理も品質管理も素材の知識が欠かせない

生産管理について教えてください。

海外商品の生産管理は、主に中国製商品の生産工程から入荷までの流れをコントロールする仕事です。うちの中国駐在スタッフや工場側と連携しながら業務を進めます。コミュニケーションは、WeChatやSlackなどのチャットツールを使っていて、テレビ会議も海外とのやり取りであることを感じさせないほどスムーズですね。ただし、文化の違いには常に注意しています。日本で常識的に思うことが、中国ではそうでない場合もありますから、丁寧な説明と、文字よりも図や写真で伝えるのが一番正確です。

国内商品の場合は、生地仕入れ、縫製、仕上げを自社工場で完結させていて、その工程を管理しています。社内に縫製工場があるので、縫製状況も身近に確認することができます。

商品企画をはじめ、ものづくり全般を担当

サンプル商品をトルソーに着せて、サイズ感を確認。ただし、肌ざわりを確かめるのは自分で着用するのが一番

品質管理はどうですか。

消費者に安心して着てもらうために、商品の品質を管理、チェックするのが品質管理の仕事です。大量生産に入る前には、開発業務と連携しサンプルで気になった点、生地の質感、色合い、縫製時のポイントなどを生産側に伝えます。工場の状況をよく把握して、事前に注意をうながせれば、その後の不良発生リスクを減らすことができます。それでも現時点では不良をゼロにすることはなかなかむずかしく、商品が入荷して問題がわかったらすぐに対応するようにしています。

ものづくりの仕事の領域はとても広いですね。これらの業務にはなにか共通点はありますか。

どの業務でも素材の知識が重要です。そこが始まりとも言えますね。企画開発は、素材がどのようにできるかわからないとアイデアがふくらみにくいです。生産管理も品質管理も糸や生地、資材の見識は欠かせません。素材を知るには、ネットに情報もありますけど、実際に自分の目で工程を見たり、現場のプロの人に聴いて学ぶことが大事だと思います。

在宅勤務の日課と年間スケジュール

在宅勤務の日課と年間スケジュール

仕事のスケジュールはどんな感じですか。

1日の流れとしては、朝イチにその日やることを整理します。午前中は、Slackやメールなどに来た連絡事項に対応し、じっくり考える時間は午後になります。ただ、トラブルなどのイレギュラーも起きるので、予定通りにいかない日はよくありますね。在宅の善し悪しというか、仕事が終わってからも、気になったらついついパソコンを開いて見てしまいます。私自身、家のことと仕事の線引きが下手なんですね。

年間スケジュールのほうは半年スパンでまわってます。年2回、春夏もの、秋冬ものを発表する展示会があって、営業が全国のスーパーや量販店などのバイヤーさんと商談します。その展示会に向けて、企画開発ではサンプル商品を工場と協力してつくります。それに並行して生産管理では次に入荷する商品の各種調整をおこない、品質管理では検査関係の整理や現在販売中商品の検品・消費者対応などにあたります。私自身の1番のピークは、業務が重なる6月、12月です。

仕事に取り組むにあたって、心がけていることやモチベーションがあれば教えてください。

仕事をしていれば悩みはつきませんが、引っ張りすぎると、負の連鎖に陥ります。それらを断ち切るために、ときどき、学生時代の同級生や繊維関係の友人に会って、仕事のこと、家庭のこと、ワークライフバランスなどいろいろ話し、たくさん笑います。笑うことってすごく大事だと思います。元気になります。友人達とは、お互い共感することも多く、すっきり前向きになれますし、自分と同年代の人が各分野でがんばってる姿は良い刺激になりますね。

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